検体検査(けんたいけんさ)とは、人体から排出され、または、採取されたものを対象として行う医学的な検査である。 検体検査は、人体そのものを対象とする生理検査とともに臨床検査を構成する。

検体

人体から排出され、または、採取されたものを検査の対象とするときこれを検体(けんたい)という(「検体」は、広義には、産業用途も含む、検査・分析のための試料全般を指すので、医療・保健にかかわる人体由来の検体を「臨床検体」とよぶこともある)。

人体からの尿・便などの排出物、血液・体液・分泌物、組織、細胞、ぬぐい液、洗浄液、などが被検査物(検査材料)となる(下表「検体検査の材料」参照)。これらの検査材料を採取して得られた検体について行われる医学的な検査が検体検査であり、成分物質の分析、酵素活性の測定、細胞数・細胞形態の解析、微生物・寄生虫の検索、遺伝子の解析、等が行われる(#検体検査の分類の項参照)。

検体(検査材料)の種類

検体検査の対象となる材料には多数の種類があるが、主要なものを下の表に示す。

検体の採取

尿、便、唾液、など、被検者自身でも採取可能な検体については、採取に関する資格の制限はない。 血液、組織、などの採取は医行為とされており、医師、または、特定の医療資格をもつ医療従事者が診療の補助として行うことのみが許されている。 看護師と臨床検査技師は、医師の指示のもとで、血液、鼻腔・咽頭拭い液などの検体採取が可能である。 穿刺液の採取、組織の採取(生検)などは医師のみが可能である(絶対的医行為)。

検体検査の分類

検体検査は様々な分類があるが、関連法令・省令の分類を下の表に示す。

検体検査の実施者

検体検査の実施に関わる国家資格として臨床検査技師があり、医療機関や衛生検査所での検体検査を担っている。ただし、臨床検査技師は法的には業務独占資格ではない。

検体検査の実施場所

臨床検査(検体検査と生理検査)は、医療機関等で実施される。生理検査については外部の第三者に業務委託することはできないが、検体検査については衛生検査所に外部委託(外注)することが可能である。 検体検査には膨大な種類があり、高度の設備や人員を要するものも多く、医療機関内で全てを実施することは不可能であり、院内で検体検査を実施している医療機関であっても、一部の検査は外部委託により実施している。

医療機関が検体検査を外注できる理由

医療機関内での委託

医療法第15条の2・第15条の3において医療機関内の検体検査業務の委託の要件が定められている。

医療機関外での委託

検体検査の業務を医療機関以外の場所で行う場合は臨床検査技師等に関する法律で定められた登録衛生検査所に委託することができる。

検体検査外注の市場原理

登録衛生検査所が受託できる臨床検査は検体検査に限られている。法律制定前から営利企業が検査所を経営していたこともあり、工業生産品と同じように市場原理が働く外注検査の仕組みが導入された。保険医療のもとで検体検査の外注では市場原理が導入されているので、いわば準市場(quasi-market)の仕組みである。2年毎に行われる診療報酬の見直しでは過去の市場実勢価格が検体検査価格に反映されることになっているものの、そのときの厚生行政や政策要素のほうが見直しに大きく反映する傾向がある。

衛生検査所の要件

衛生検査所に医療機関から外注検体検査を任せるにあたり検査精度管理の詳細が整備されている。信頼にたる精度の検査結果を医療機関に保証するため衛生検査所が行うべきことが衛生検査所指導要領に詳しく定められている。

要領には指導監督する都道府県側の事項、登録審査時の事項、立入り検査、検査所の管理者・指導監督医・精度管理責任者、検査室構造や検査設備、検査案内書・検査基準値、検体受領・搬送・受付・検体処理、機器試薬等検査・測定事項、検査・搬送・機器保守管理作業等日誌、それぞれの検査について記載した台帳類、検査精度、検査結果報告、外部精度管理など詳細が記載されている。

この規定を遵守すれば衛生検査所が営利企業の場合市場原理のもとで営業することができる。ただし、患者側からみれば、医療施設が安いところに検査を出しているからといって支払う検査料金が安くなるわけではない。

臨床検体検査受託は市場メカニズムが働く医療関連サービスに分類される。医療機関が営利を目的に臨床検体を集荷し検体検査を業とすることはできない。医師会医療機関に付属する検査所は営利性のない共同利用施設(医療施設)の場合と、営利が可能な登録衛生検査所の場合がある。

検体測定室

検体測定室は、簡易な検査(利用者自らが採取した検体について民間事業者が血糖値や中性脂肪などの検体検査をその場で行い、直ちに検査結果を受け取るもの)を実施する施設である(郵送された検体について後日結果を受け取るものは該当しない)。「検体測定事業」については、診療の用に供する検体検査でないため、衛生検査所の登録は不要となっている。平成26年4月からは、「検体測定室」を開設する前に、医政局指導課医療関連サービス室長への届出(開設場所・図面、測定項目、開設者・運営責任者・精度管理責任者等)が必要となった。(検体測定室に関するガイドライン)

注釈

出典

関連項目

  • 臨床検査
  • 衛生検査所
  • 検体測定室
  • 臨床検査技師
  • 衛生検査技師
  • 準市場

外部リンク

  • 日本衛生検査所協会
  • 財団法人医療関連サービス振興会
  • 日本臨床衛生検査技師会

検体検査

検査科 部門紹介 医療法人徳洲会 日高徳洲会病院

中央検査部 東京女子医科大学

検査科 南国厚生病院|医療法人 千博会

ノロウイルス抗原キット「クイックナビTM‐ノロ3」新発売‐ 自社従来品と比較して最小検出感度が向上 ‐ -大塚製薬 株式会社|BtoB