不飽和結合(ふほうわけつごう、unsaturated bond)とは、隣接する原子間で2価以上で結合している化学結合であり、ほとんどの場合は1つのσ結合と1つないしは2つのπ結合から形成されている。不飽和結合を持つ化合物を不飽和(化合物)と呼ぶ、ただし、錯体においては18電子則を満たさないものを不飽和(化合物)であると言う。

通常の有機化合物においては、二重結合あるいは三重結合を有することであり、炭素原子間に不飽和結合を持つものとしては、アルケン、アルキン、芳香族化合物などがある。また、不飽和結合は炭素原子間である必要はなく、ケトン、アルデヒド、イミンも不飽和化合物である。

遷移金属化合物の場合、δ結合 の関与により四重結合以上の結合次数を示すものも知られる。項目: 四重結合、五重結合、六重結合 を参照。

種類

不飽和化合物ないしは不飽和結合を含む化合物群を次に示す。

  • 鎖状の不飽和化合物
    • 炭化水素化合物
      • アルケン(二重結合のみ)- エチレン、プロピレン、etc.
      • アルキン(三重結合のみ)
      • クムレン - アレン
      • ポリエン(共役不飽和化合物)
    • 複素化合物 - ケトン、アルデヒド、イミン
    • 環状の不飽和化合物
    • 炭化水素化合物
      • ベンゼン(共役二重結合6員環)
      • アヌレン(6員環より大きい共役二重結合化合物)
    • 複素環式化合物 - チオフェン、ピリジン、etc.

性質

ある化合物が不飽和結合を持つとき、何らかの付加反応が起こりうる。その不飽和結合が芳香性を持たない場合により起こりやすい。

不飽和結合を通して官能基の電気的性質が伝わることがある。項目: ビニローグ を参照。

不飽和化合物

集積二重結合

二重結合が2個以上連続しているものを集積二重結合と呼ぶ。それらが炭素のみからなる場合、二重結合が2個連なった化合物を アレン (allene)、3個以上連なった化合物を クムレン (cumulene) と呼ぶ。二酸化炭素やケテンなど、炭素以外の元素を含む集積二重結合化合物は ヘテロアレン (heteroallene)、あるいは ヘテロクムレン (heterocumulene) と呼ぶ。

アヌレン

アヌレン(Annulene)は大環状共役不飽和化合物の総称で、環を構成する炭素数(通常nは3以上)を"[ ]"を使用して接頭辞で命名する(IUPAC命名法)。アンヌレンは学術用語としては正しくない(学術用語集・化学編)

"[4n 2]アヌレン"は芳香族性を示すのに対して、"[4n]アヌレン"は反芳香族性を示す。(ヒュッケル則)

その他

  • アリル化合物 - 2-プロペニル構造を特徴とする化合物。

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